きみのとなり
「じゃあ未来?戸締まりお願いね?ガスの元栓は閉めたから。未来?いい?」
「はーい。いってらっしゃーい」
私は笑顔でひらひらと両親に手を振った。
パタンとドアがしまったと同時に、ふぅと大きく息を吐いた。
「さて、私ももう行かなくちゃ」
全ての部屋の窓の戸締まりをして、コートを羽織って家を出た。
鍵を鞄にしまってから顔をあげると、お隣がしんとしている。
そうか。お隣もおばさんとおじさんはうちの両親と出かけて、裕介も真美ちゃんとパーティーとか言ってたな。
「……」
拓ちゃんは、きっと河野さんと出かけたんだ。
…よかった……
なんて思ってしまった私は、頭をぶんぶんと振ってエレベーターへと走った。