きみのとなり


「未来?どうした?」


「っ……斗真君…」


「ん?」



私は携帯をギュッと胸元で強く握りしめる。


「っ……ごめん、私…」


「……」


「拓ちゃんが、風邪引いてて…それ、私の風邪がうつったやつで、熱も出ててでも一人で…だからっ」


「また、石川先輩?」


「……っ…ごめっ…」


「………嘘。意地悪した。うん、仕方ないよ。行っておいで」


そう言うと、斗真君はぽんぽんと頭を撫でて力なく笑った。


「っ……ごめんね!」



私は急いで鞄を持ってマンションへ向かった。



拓ちゃんが待つ、マンションまで。



< 295 / 338 >

この作品をシェア

pagetop