きみのとなり
それから色々たわいもない話をして過ごした。
冬だから日が暮れるのが早くて、暗くなる前に斗真君にマンションまで送ってもらった。
「今日はありがとう。楽しかった…」
「うん、俺も楽しかった」
私たちはお互い微笑んだ。
「またお父さん帰って来たら心配かけちゃうよな。帰らなきゃ。」
「ごめんね。送ってくれてありがとう。気をつけて帰ってね。」
「うん。また連絡するよ。じゃ。」
斗真君が手を振ってくれたから、私も手を振って見送った。
ただ…
公園で全部話すって私言ったのに。
拓ちゃんから告白されたことを言えなかった。
言わなくちゃって思ってたけど。
言えなかった。
でも今なら、まだ……
斗真君はすぐ先を歩いている。
まだ、言えるよ。
まだ…
「っ…と」
「未来?」
「え?」
斗真君を呼び止めようとしたとき。
逆に私が呼び止められた。
「未来~!なにしてんだよ!」
「裕介…」
「俺は母ちゃんと買い物してきたんだ!兄ちゃんのポカリとか!母ちゃん遅いから先に来たんだ!」
ここ何日か裕介とは会っていなかったからか、裕介はとびきりの笑顔で話している。
ああ…
また、失敗。
また秘密にしちゃった。
裕介のせいじゃない。
私が悪い。
最低だ。
「未来?」
「…うん。」
「元気ないのか?さっきチョコ買ってもらったからあげるよ。そしたら元気になる?」
「うん。ありがとう。」
私が悪いのがわかってるから、裕介の優しさが嫌に胸に沁みた。