きみのとなり
拓ちゃんからのアプローチ
朝。
とても目覚めが悪かった。
自分のせいなんだけど。
裕介がくれたチョコが机の上に寂しく置いてある。
「はぁぁぁぁ~!」
言わなくちゃ。
今日は絶対言う。
斗真君に。
「未来?そろそろ行かなくちゃでしょー?」
ベッドの上で悶々としていたら、お母さんが部屋に来て私のお尻をペシッとはたいた。
「行きますよ~だ」
私は鞄を持つと玄関に行き靴を履いてドアを開けた。
「いってきまーす」
声をかけて家を出る。
「未来」
「!!」
何で!?
「おはよ。コホッ。待ってたんだけど、遅い」
「た、拓ちゃん!?何でいるの!?」
まだ咳してるし。
寒いのに。
「今日終業式だろ?」
「そうだけど…」
「明日から冬休みだろ。勉強見てやるよ。それ伝えようと思って待ってた。」
そう言うと拓ちゃんはコホッコホッとまた咳をした。
マスク姿がまだ辛そうだ。
「そんだけならお母さんに伝えればいいじゃん!わざわざ待ってなくてもいいよ。…風邪治ってないし」
そう言って私は私はエレベーターへと向かう。
「心配してくれてんの?」
「はぁ?」
私の後ろに立った拓ちゃんはニッと笑って私の顔を覗き込んだ。
「ちょっと近い!」
「ああ、ごめん。風邪うつっちゃうな。でも…」
ポンッと音がしてエレベーターが着いた音がして扉が開いた。
「こんなん平気だろ?幼馴染みなんだろ?お前にとって俺は」
「っ…!?」
拓ちゃんはニヤリとしてエレベーターに乗り込んだ。
「早くしろよ~」
拓ちゃんは何でもないような顔で私に言う。
悔しいけど、私はむすっとして拓ちゃんに続いてエレベーターに乗った。