きみのとなり
斗真君にマンションまで送ってもらい、エレベーターに乗って部屋のある7階まで行く。
エレベーターを降りて部屋の前まで行くと。
「何でいるの」
「ご飯に呼ばれたから」
「ご飯のときに来ればいいじゃん」
「裕介が早めに行くってきかないんだよ。裕介が着替えてんの待ってんの」
「自分の部屋にいればいいじゃん」
私が悪態をつきまくると、拓ちゃんは
はぁ~とため息をついて、壁に両手をついて、その中に私を閉じ込めた。
あ……
壁ドン
なんて思ってる場合じゃない。
「そんなに俺が嫌い?」
「……」
「俺は本気だよ。もう遠慮しない。」
「…妹みたいって」
「嘘だよそんなの。」
「…河野さんは?」
「別れたよ」
「好きじゃなかったの?」
「好きだったよ。」
「じゃあなんで別れたの?おかしいよ。河野さんと別れて、すぐに私のこと好きなんて言われても信じられるわけないじゃん!」
そうだよ。
河野さんと別れてすぐに私に好きなんて。
おかしいよ。
「もう邪魔しないで。斗真君とうまくいかなくなる。」
「……俺のせいでうまくいかなくなるくらいの関係なら、俺はどんどん割り込むよ。そんなに簡単にうまくいかなくなるならあいつから奪うよ。」
私はカッとなって私を閉じ込める拓ちゃんの腕を振り払った。
「最低」
それだけで言い残して、私は部屋に入った。