きみのとなり


「はぁ」



私は暑い中何度もため息をついて歩いた。




多分、鈴木君は私が元気ないから


からかって元気を出そうとしてくれたんだ。




「悪いことしちゃったな…」




はぁとまた一つため息をついた。





「入れろー!!拓海ー!!」





…へ?




「…拓海?」




そうか…うちの中学の隣は拓ちゃんの高校だったっけ…




試合、してるのかな?



私はフェンスにそっと近寄った。




「あ!拓ちゃん!」



思わず声を出してしまったけれど、周りの歓声で掻き消されてしまい拓ちゃんには届いていない様子だった。




拓ちゃんがゴール目指してドリブルしてる…



楽しそう…





「…かっこいいな…」




私がぽつりと呟いた時



“キャー”と大きな歓声が上がった。




見ると拓ちゃんは応援席に向かってガッツポーズをしていた。



拓ちゃん…シュート決めたんだ…






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