きみのとなり
私は歩きながら、梢にメールをした。
今から会いたいと伝えるとすぐに返事が来て、私のマンションの近くのファミレスで待ち合わせになった。
「お待たせ!話があるって言うから慌ててきたよ~!」
梢は急いできてくれたみたいで少し汗をかいていた。
「中、入ろうか。」
中に入ると、そこまで混んでいなくて隅の席に座れた。
「でー?話ってー?」
「あー、うん。斗真君と別れました。」
「……そっか…」
梢はオレンジジュースに挿したストローをいじりながらふーっと息を吐いた。
「驚かないね」
「だって、なんとなくそうなるなって思ってたよ。未来は明らかに石川先輩のこと諦められてないし。石川先輩は河野さんと別れて未来に告白しちゃうし。別れない理由がないよ。」
鈴木はいいやつだけどね。
と付け加えて、梢はオレンジジュースを飲み干した。
「でー?付き合うの?石川先輩と」
「それ、なんだけどさ……」
「んー?」
「鈴木君と別れたばっかりで付き合うのってどうかなー?って思って。」
「は?」
「おかしくない?だった、学年のアイドルと別れてすぐに拓ちゃんとなんて。周りがなんて思うか……それに、拓ちゃんと河野さん、もしかしたらよりヨリ戻してるかもだし。だから今付き合うとかそーゆうのは……」
今じゃなくても……と言おうとしたとき。
バンッーー!
「わっ!」
「何今更言ってんの!?このいくじなし!今更うじうじしちゃってさ!じゃあなんで鈴木と別れたわけ?回りの人の目ばっかり気にして。結局、鈴木も石川先輩も、未来にとっては回りにどう見られるかの道具なんじゃん! もう知らない!」
梢は一気に捲し立てると、千円札をバンッと机に置いて帰ってしまった。