きみのとなり


練習試合のはずなのに、こんなに盛り上がっている。



拓ちゃんって高校行っても人気者…




ぼーっとフェンス越しに拓ちゃんを眺めていたら、ピーッと試合終了のホイッスルが鳴った。



そこで拓ちゃんはものすごく嬉しそうに飛び上がり、今度はピースを観客席に向けていた。




「ふふっ…バーカ…」



私はそれだけ呟いてその場を立ち去ろうとした…




なのに…





「未来?」



「……」




何で気付いちゃうのかな?




「なんだ、見てたの?」



拓ちゃんはタオルで汗を拭きながら、笑顔で私に話しかけてくる。




「う…うん…途中から…」



「ふーん。じゃあ、俺のシュート見た?」



「うん!見た見た!!拓ちゃんかっこよか…た…あ…」




会話をしていくうちに拓ちゃんのボールを蹴る姿を思い出し、興奮してしまった…




「うん…かっこよかった…」



私は少し赤くなって、俯いてまた一言呟いた。






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