きみのとなり
「拓ちゃん!」
病室は4人部屋のようだけど、拓ちゃん以外はいないみたいで、静かだった。
「拓ちゃん!!」
「兄ちゃん!」
部屋の一番奥のベッドに拓ちゃんはいた。
「っ…」
びっくりした。
拓ちゃんは、思ったよりもケロッとしてケータイをいじっていた。
「…未来…」
「拓ちゃん?ケガ…は?っ……風邪は?熱あるって!そしたら階段から落ちたって!」
「未来、落ち着いて」
拓ちゃんにしがみついて泣きながら叫ぶと、拓ちゃんに腕を掴まれた。
「大丈夫だから。」
「っ…ほんと…?」
「ほんとだよ。」
拓ちゃんはフッと笑うと、私の頭をそっと撫でた。
「裕介」
「兄ちゃん…。ごめん。俺…。未来に…」
「いいよ。ありがとな、裕介。兄ちゃんは大丈夫だから、母さんのところ行ってな。」
「未来と仲直りする?」
「うん。する。」
「わかった。」
裕介はそう言うと、涙を袖で拭ってニッと笑うと部屋から出ていった。