きみのとなり
ふわりと拓ちゃんの匂いに包まれた。
「拓ちゃ…」
「ごめん。未来。謝るから、そんなに自分を責めないでくれよ。お願いだから…」
ぎゅうっと拓ちゃんが抱き締めてくれる。
「怒られるよな、こんなことしてたら、あいつに」
そういえば……拓ちゃんに言うのを忘れていた。
「……拓ちゃん」
「ん?」
「言わなきゃいけないことがあって、拓ちゃんに会いに来たの。」
そう言うと、拓ちゃんは抱き締める腕の力を緩めてくれた。
「あのね……」
「ちょ、待った」
「え?」
拓ちゃんはふーっと一息つくと私の方をまっすぐに見つめた。
「よし。覚悟はできてる。もう嫌なこともしないから。存分に俺を……て…え……?」
私は拓ちゃんに抱きついた。
「未来?」
「…あのね。別れた。」
「え?わ、かれた?え?」
「拓ちゃん、だから、もう一回だけ言わせて」
拓ちゃんの服を強く握りしめる。
「あのね……」
「ストップ!」
今度はなんだ……
「何?」
「…それは、俺に言わせて」
拓ちゃんはまた裕介と同じ顔ニッと笑った。