きみのとなり
「ははっ!何照れてんだよ!」
拓ちゃんは俯く私に向かって笑顔を見せた。
ドキドキする…
少し、変な沈黙があって私がまた顔を上げた時…
「拓海ー!」
「拓!!」
ん??
「お前最高!!やっぱり一年でレギュラーだけあるな!」
「かっこよかったよ~拓海!美和も惚れ直しちゃうね!ねー美和?」
「ちょっと止めてよー」
あ…
私…場違いだ…
また…河野さんいるし…
怒られたくないし…
「た…拓ちゃん!私帰るね!」
「え?帰るの?」
「うん…じゃあ…」
私はくるっと後ろに向き直って、唇を強く噛んだ。
早く帰ろう…
そう思ったのに…
「拓海!あのかわいい子誰?」
「…幼なじみ」
「超かわいいじゃん。名前は?」
「未来って書いてみき……って、未来!?」
拓ちゃん…帰ろうと思ったの…
でも…
「未来!!」
暑いから、熱中症かな?
「拓ちゃん…」
私は冷や汗をかいた手を握りしめて、ゆっくりと瞼を閉じた。