きみのとなり
「今日はさぼるかぁ」
鈴木君は伸びをしながら言った。
「ごめん…ね…」
「…泣くな。上原…」
「っ…うん」
相変わらず鈴木君は優しく頭を撫でてくれて、梢は悲しい顔をしてて、田中君はどうしようと困った様子だった。
「そうだ!今日花火大会あるよね!?」
梢が突然、思い出したように言った。
「ああ…川沿いで打ち上げるやつだろ?」
鈴木君はあくびをする。
「それ、みんなで浴衣着て行こう!」
「いいけどそれまでどーすんだよ」
「あ…そか…」
梢がシュンとする。
私はその景色を見て、涙が乾いた後の頬をゴシゴシこすった。
「じゃあさ」
「?」
うーんと考えていた所に、鈴木君がまたあくびをしながら口を開いた。
「隣」
「隣?」
「隣」
となり?
「石川先輩、練習試合じゃねぇの?」
鈴木君のその一言にドキッとした。
田中君は見たい!と喜んでいるけど…
「見に行く…の?」
「上原は見たくないの?」
「…意地悪」
私は唇を尖らせて鈴木君を睨んだ。