きみのとなり
私はギュッと拓ちゃんに抱き着いた。
「拓ちゃんが好き。ずっとずっと好きだった。小さい頃からずっと…」
なのに…
「何で気付いてくれないのぉ!!」
「…未来……」
「わーんっ!」
私は拓ちゃんの上に乗って号泣した。
やっと想いを口にできた日がこんなものなんて…
「好き…」
「うん」
「好き」
「…うん」
「…拓ちゃんが好き」
私の流れる涙が拓ちゃんの服に落ちた。
黒のティーシャツにしみができる。
拓ちゃんは何も答えない。
答えてくれない。
「…帰る…ね」
私はフラフラと立ち上がった。
拓ちゃんはぼーっとしたままでやっぱり何も言わなかった。
私は自分の部屋のベランダへ戻り、拓ちゃんに振り向いた。
「……拓ちゃん…鈍感だよ…頭、いいのに」
それだけ言って、私は部屋に戻った。