きみのとなり
話を全部聞いてくれた梢は私より悲しい顔をしていた。
「好きな人の好きな人なんて簡単に好きになれないよ。河野さんのこと、嫌いだって思っちゃうのは仕方ないよ」
「うぅ…梢~!ありがと~!!」
私は泣きまねをして梢に抱き着いた。
先生はきっと気付いていたけど、見て見ぬふりをしてくれた。
今日の夏期講習の先生が担任の佐藤先生で良かったって思う。
「はいじゃあ5分早いけど終わりにします。」
しかも早く終わってくれたし…
「いいか?今日で夏期講習は最後だけど、勉強はきちんとするように。あと、夏休み明けに球技大会がある。今クラス全員揃ってるから何に出るか決めとけよー」
先生はそう言うと参考書やら何やらを机でトントンと揃えた。
「じゃあ、この夏休み有意義に過ごして下さい。終わり!」
「きりーつ」
佐藤先生はニコニコと笑いながら教室を出て行った。
「まだ帰らないでくださーい」
先生が出て行ってすぐに委員長が前に出て呼び掛ける。
私はその教室の光景をぼーっとして眺めた。