きみのとなり
私と真美ちゃんと裕介はみんなで手を繋いで帰った。
真美ちゃんの左手を私、右手を裕介が握って。
「未来ちゃん明日もやるの?」
「うん!裕介が練習付き合ってくれるから助かるよ!」
「ほんとだよなー。俺ってつくづくいい奴だぜ」
裕介はへらっとした表情で私を見た。
「はいはい。ありがとうございます!」
私はクスクス笑った。
「でも未来ちゃんすごいね!練習頑張ってて真美ね、すごいと思う!」
「…ありがと。でも、すごくないよ…」
私は眉を下げて微笑んだ。
すごくないよ…すごくない…
私なんて、逃げてるんだから。
「あ!私のお家ここ!裕介君と未来ちゃん、送ってくれてありがとう!!」
「じゃあね!真美ちゃん!」
裕介がぶんぶんと手を振る。
「真美ちゃん差し入れありがとう。お母さんによろしくね」
私も小さく手を振った。
「…裕介…」
「あ?」
「…何でもない!帰ろ!」
「…?…おう」
その日私は裕介の自慢話を聞きながら帰った。
それもそれで楽しくて、悲しい気持ちをその時は忘れられたんだ。