きみのとなり
第2章
花火大会
「鈴木。今日、また花火大会あるよ」
「へー」
「隣町の」
「隣町?ああ、あのでかい花火ね。普通に家からでも見えるやつだろ?」
「そうだけど!」
今日はみんなで学校の図書館で勉強会。
涼しいし
佐藤先生もいるし
勉強するなら最適な場所だ
「何?お前花火見たいの?」
「見たい!!」
「ふーん」
梢と鈴木君の会話はさっきからずっとこんなかんじ。
いつになっても進まない。
「未来ー!鈴木行きたくないらしいよ」
梢はジロリと鈴木君を睨んで私に耳打ちをした。
「えー」
私も唇を尖らせて抗議する。
「斗真~!行かねぇの?」
田中君も唇を尖らせる。
「みんなで行こうって話してたのに…」
梢はしょんぼりしてため息をついた。
「だーかーら!隣町まで行ったら帰り遅くなるだろ。そりゃあ俺も行きたいけど勉強があるじゃん?」
鈴木君は参考書に何か書き込みながらムッとしたようにそう言った。