きみのとなり


大きな花火がパンッと音をたてて次々とあがる。




「……綺麗だな…」



「うん…」



正直、私はドキドキして仕方がなかった。




落ち着け…



落ち着け…



「未来、私と田中で何か買ってくるね!おばさんが用意してくれたお菓子食べるのも悪いし」


突然、梢が言い出した。



「え…別にいいのに」




てゆうか、困る



「ううん、いいの。ほらっ行くよ田中!」



梢は田中君を引っ張ってベランダから出て行った。



「……」



「……」



嘘…今ものすごく気まずいよ…



鈴木君と二人きり、沈黙が続く。




「あのさ…」




先に口を開いたのは、鈴木君だった。




「何?」



私は平生を装って返事をする。


「この部屋、上原の部屋?」



「…うん、そうだけど…え、もしかして汚いかな?」



「違う違う。女の子らしいし綺麗だし…それに…」



「?」



「石川先輩との写真がたくさんあるから…」




鈴木君はぼーっと花火を見て言った。





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