きみのとなり
鈴木君のその一言で私は押し黙った。
「好きなんだなーって思っただけ」
「…」
「石川先輩はどこで見てるんだろな。花火」
「…分かん…ない」
私は泣きそうになるのを堪えて鈴木君が見つめる花火を見た。
「拓ちゃんは…彼女といるよ。多分」
私が笑いながら話すと、鈴木君は「そっか」とだけ言って眉を下げた。
「…サッカーの練習してんの?」
そして急に話をそらす。
多分、私に気をつかってくれたんだと思う。
「うん。まだ始めたばかりだけどね」
「ふーん」
拓ちゃんに教えてもらってるかとか、聞かれると思ったけど、鈴木君はそれ以上何も言わなかった。
構えていた私だから、ちょっとだけホッとした。
「……今度…」
「…ん?」
黙っていたら、鈴木君はまた口を開いた。
「うん。今度…お祭り行かね?みんなで」
「お祭り…いいね!」
私はふふふっと微笑んだ。