きみのとなり
頭がパニクってやばい。
「兄ちゃんだったら、俺よりいい指導できると思うんだよね」
「っ…い…嫌だ!裕介がいい!」
「えー、でも俺じゃあ兄ちゃんには負けるし。俺、真美ちゃんと遊びたいしー」
「拓ちゃんはダメ!い…忙しいじゃん?だから…」
どうしよう…
ああ!!
「と…とにかく!拓ちゃんはダ…」
そこまで言いかけた時、肩にポンと誰かが手を置いた。
「!?」
私は驚いて、ビクッと肩を震わせた。
そして恐る恐る振り返る。
「…!」
「兄ちゃん!!」
そう、そこには
拓ちゃんがいたんだ。
私はどうしようもなくなって、魚みたいに口をパクパクさせるしかなかった。
「あの…え…と…」
わー!どうしよー!
「未来」
「えと…」
「サッカー、指導してもいい?」
拓ちゃんは寂しそうな笑顔を浮かべてから、肩に乗せていた手を私の頭に移動させた。
「……うん…」
私はそんな拓ちゃんに
頷くしかなかった。