きみのとなり
私はひたすら練習した。
拓ちゃんが優しく教えてくれるから、段々とボールもちゃんと蹴れるようになった。
「未来!だいぶ上手くなったし、今日は終わろう」
「はーい」
私はボールとコーンを片付けて拓ちゃんに駆け寄った。
「サッカーボールって結構重いね」
「そうか?」
「うん、重いから…コーンと一緒に持って来るとき大変で…裕介は持ってくれないしさぁ」
私はあははと笑って、落ちそうになるコーンとボールを抱えた。
「……借して」
「え…」
膝にガンガンとコーンをすり当てながら歩いていたら拓ちゃんは、さりげなくコーンを持ってくれた。
「ちびのくせにこんな物持つな」
「……あ…ありがとう…」
嬉しかったけど、やっぱりその優しさは私の胸を痛くした。
告白の返事もないけど…
拓ちゃんは優しい
拓ちゃん…心が焦げちゃいそう…