きみのとなり
それから拓ちゃんとパス練習をしたんだけど、私はコケてばっかりだし、ボールは真っ直ぐいかないし…
拓ちゃんにたくさん迷惑をかけてしまった。
「ハァ…ハァ…っ…」
「未来、もう終わるか?」
疲れて座り込む私の所へ拓ちゃんはゆっくりと近付いて来て、私の顔を覗き込んだ。
「っ…ハァ…まだやる…」
私はふらつく足に力を入れて立ち上がった。
「シュート練習する…から…拓ちゃん付き合ってもらっていい?」
「……よし。じゃあ一本入れたら終わりな!」
拓ちゃんは私に手を差し延べた。
私はその手に自分の手をゆっくりと重ねた。
「よし」
拓ちゃんは強く私を引っ張ってからボールを渡してきた。
「俺にパスして。それからまた未来にボール返すから、そこでシュートな」
「了解」
夕日のオレンジ色の光が私達を照らす。
拓ちゃん…こんなに付き合わせちゃって……
ごめんね…
私は深呼吸をして、拓ちゃんにパスを出した。