きみのとなり
涙がうっすらと滲み出る。
無理だよ…
「…き…未来!」
「……」
私はつむった目をパッと開けた。
「未来!」
辺りをキョロキョロと見渡す。
呼んでる……
拓ちゃんが…呼んでる…?
「未来!こっち!」
「…あ!」
いた…
「拓ちゃん…」
フェンスに手をかけて必死な顔で私の方を見ている拓ちゃん。
「未来!大丈夫だから!落ち着いて、練習通りにやれば大丈夫だから!」
私はこくんと頷いた。
なぜか拓ちゃんのその言葉を聞いて落ち着けた私は大きく深呼吸した。
大丈夫。
できる…
そんな気がして、ボールをゴールに向けて思い切り蹴った。