きみのとなり
「…拓ちゃん…なんでいるの…」
「今日早帰りで部活オフ」
「……」
私は流れる涙を拭いながら拓ちゃんの肩に顔を埋めた。
「未来」
「ん?」
「ナイスシュートだったよ」
拓ちゃんは笑いながら言った。
「…あれね、実は…」
「…実は?」
「滑って、転びそうになって足を出したらたまたまゴールしちゃったの」
「…は?」
私は拓ちゃんの首に腕を回して、ギュッとした。
「ちょっと苦しい!!」
「……バカって思った?」
私は強く目をつむって呟いた。
「……思わないよ」
「…本当に?」
「うん。一生懸命でよろしい。」
「……じゃあ、試合…勝てるかな?」
「勝てるよ。大丈夫」
そう話していた時…
“ピー”と笛が鳴ったのが聞こえた。
「…どっちだろう?」
「俺は…多分…」
ウ゛ーウ゛ー…
「あ…携帯…」
ポケットに入れておいた携帯が鳴った。