きみのとなり
家に帰ってすぐに、私は自分の部屋に閉じこもった。
「未来?足ケガしたんだって?学校から電話きて、病院行くようにだそうよ?支度してー」
そんな私の行動にお母さんは、不思議がる様子もなくのんきにリビングからそう言った。
「…うん」
私は聞こえるか聞こえないかくらいの声で返事をして、汗ばんだワイシャツを脱いだ。
「未来?早くねー?」
お母さんが部屋の外で騒ぐ。
「うん…すぐ行く」
私はトクトク鳴る胸を押さえて着替えを済ませた。
着替えを済ませても、心臓はうるさく鳴ったままだ。
さっきまで拓ちゃんにおんぶされていたせいだ。
拓ちゃんの香りに包まれて、一時だったけど…
心が温かかった。
「未来ー!」
「…はーい!」
お母さんに呼ばれて、私は慌てて部屋を出た。