きみのとなり


「捻挫ですね」



病院の先生にそう言われ、お母さんは


「まぁ」


と言って困った顔をした。




「松葉杖をお貸しするので、しばらく安静にしてください」



「はい。ありがとうございました」



「お大事に」




お母さんは右頬に手をあてて、「困ったわ」なんて呟いている。




「未来、学校行ける?」



「行けるよー!大袈裟だよ。たかが捻挫で!!…それに……」


それに……




「………」



「何よ?」




「……何でも…ない…」



「変な子ねぇー。早く車乗りなさい」



「うん…」





バカだ…




拓ちゃんともう…通学路歩けないんだ……




河野さんと拓ちゃん…一緒に学校行くから…




早く…慣れなよ…




私…






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