きみのとなり


家に着いて私は部屋のベッドでゴロゴロしていた。




治療をしてもらったけど、まだ足がズキズキと痛む。




「…痛い」




足が痛いよ…



でも…胸も痛む…




胸の痛みは拓ちゃんのせいだよ



拓ちゃんが優しいから。




変な所で優しいから……




諦めようとしても、想いは募る一方で…




それがすごく虚しくて…




コンコンーー




「!?」



窓を叩く音が聞こえて、私はガバッと起き上がった。




「お!なんだ~!開いてんのかよ!!」



鍵が開いていた窓から入って来たのは




「母ちゃんがぶどうたくさんもらったからおすそ分けだとさ。ほら!師匠からだ。食べなさい」



「……裕介…か…」




相変わらず元気な、裕介だった。




「何だよー未来ー!ぶどう好きなんだろ?お師匠が持ってきてやったのに…」




「…うん…ありがと…」




「?…何かあったの?」



裕介はキョトンとして私を見た。




「…何にもないよ。平気!!ぶどう、ありがとね!」




心配する裕介に私は作り笑顔を向けてぶどうを受け取った。







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