きみのとなり
「お母さーん!裕介からぶどうもらったぁ」
私はぶどうが入った箱を持って、お母さんに突き出した。
「あら!いいぶどうねぇ!そうだ!今日のお夕飯、一緒に食べましょうよ。お隣りさんと!!」
「……」
「拓海君もいるし、ね?」
「…うん。そだね」
「じゃあ電話しなきゃね。未来は松葉杖だから呼びに行けないし…」
「すみませんね」
私はお母さんのお尻を松葉杖でツンツンと突っついた。
「こ~ら!ご飯できたら呼ぶから、それまで部屋で勉強してなさい!拓海と同じ…」
「わかったよ!!」
私は怒鳴るように言った。
言ってから、やってしまったと気付いて、お母さんをチラリと眺めた。
「…未来、部屋行きなさい。疲れてるのよ」
お母さんは眉を下げて、少し困ったように私に言った。
「…うん…ごめんなさい…」
「いいから、ほら!行った行った!」
私は唇を噛み締めてくるりとお母さんに背を向けた。