ご主人様はペット様
『あのこと…考えてくれたかー?』
「……ごめん。もう少し待って」
『分かった。ヤなら断れよ。俺のこととか、考えるな』
「うん……」
優しいな、翔也は。
ここで、少し私の話をしましょう。
7年前、私が五歳のときです。
イトコの翔くんと、遊んでいたとき…。
お母さんが倒れたと聞いた。
そのときは信じられなかったけど、病院に行ったら青白い顔をしていて…
しかも、お母さんの顔の上には白いハンカチみたいなのが乗せられていた。
そうか……お母さんは、亡くなったんだ…。
嫌いなお母さんが亡くなったと聞いたとき、嫌いなのに…嫌いなのに、不思議と悲しかった。