雲に届け 想い
「沙織…さん。」

「そ、沙織って呼んでいーよ。
ってゆーかさぁ、誠くんは何してたの?
空に手を伸ばしてたけど」

「え?
いや、なんか手を伸ばしたら雲が掴めそうな気がしてさ。
あ、いや、掴めないのはわかってるけど」

沙織は空を見上げて、雲に向かって片手をのばした。

制服が引っ張られ、チラリと覗いたおへそに誠はドキっとした。

「掴めるよ…雲。」

そう言うと沙織は誠のいるほうと反対に歩きだした。

話す声が聞こえるか聞こえないかの距離で立ち止まり、沙織はスカートをなびかせながら振り返った。

「ジュースのお礼しなきゃね!
明日、朝10時にまたこの場所に来て!
いいところに連れていってあげる!」
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