雲に届け 想い
「…い、いいところ?」

よからぬ想像が脳裏をよぎる。

「あ、いまイヤラシイこと想像したでしょ!」

「し、してないしてない!」

誠は慌てた素振りで首を横に振った。

「じゃあ、約束ね!
明日の朝10時で!
と、その前に…」

沙織は大きな雲を指差した。

「あの雲の写真撮っておいて!
携帯にカメラ付いてるでしょ?」

「写真?なんで?」

「いいから、いいから!
ほら、早くっ!」

誠は言われるがままに、携帯で雲の写真を撮った。

「うん。これでよし!
じゃ、また明日ね!」

そう言うと、沙織は誠にウインクして手でバイバイとしてみせた。

「…ってか、なに?
全然意味わかんねぇ」

誠は立ち上がり、スボンについた芝生をはたいた。

「沙織…か。
見たことない子だけど、かわいかったな。
…帰ろ。
ノド渇いた…。」

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