僕たちの時間(とき)
*
「私……カノジョの気持ち、わかるような気がするな……」
そんな遥の呟きに、光流は彼女を振り返った。
「でも、サトシなんかに教えてあげない。――女心なんていつも……言葉とはうらはら、なんだから……」
ストンと、そのまま遥は椅子に腰を落とす。
「ホント、素直になって飛び込んじゃえれば、どんなにいいかしれないのにね……」
光流は無言で遥に歩み寄り、彼女の頭を自分の胸に引き寄せた。
遥は、抗いもせずにそのままもたれる。
「――あんたもバカね……」
「少しは悪かったと思ってるからな。胸くらいは貸してやるよ」
「ホント、バカばっかりよ……!」
遥の手が、光流のシャツの背中を掴んだ。
「カノジョ持ちのくせに……優しくなんて、しないでよッ……!」
シャツを握った手から伝わる微かな震えに、光流は気付かないフリをする。
「所詮……あんたじゃ“悪女(ワル)”には、なり切れなかったな」
――白いシャツが、涙に濡れた。
「私……カノジョの気持ち、わかるような気がするな……」
そんな遥の呟きに、光流は彼女を振り返った。
「でも、サトシなんかに教えてあげない。――女心なんていつも……言葉とはうらはら、なんだから……」
ストンと、そのまま遥は椅子に腰を落とす。
「ホント、素直になって飛び込んじゃえれば、どんなにいいかしれないのにね……」
光流は無言で遥に歩み寄り、彼女の頭を自分の胸に引き寄せた。
遥は、抗いもせずにそのままもたれる。
「――あんたもバカね……」
「少しは悪かったと思ってるからな。胸くらいは貸してやるよ」
「ホント、バカばっかりよ……!」
遥の手が、光流のシャツの背中を掴んだ。
「カノジョ持ちのくせに……優しくなんて、しないでよッ……!」
シャツを握った手から伝わる微かな震えに、光流は気付かないフリをする。
「所詮……あんたじゃ“悪女(ワル)”には、なり切れなかったな」
――白いシャツが、涙に濡れた。