僕たちの時間(とき)
「じゃあ、どうして!? それなら、どうしてあの時すぐ、私のところへ戻ってきてくれなかったのよ!?」
「――――!?」
「そうしてくれたのなら、少しは信じられたのに……! あの時なら……!」
「それはッ……」
「あれは、私を見限って行ってくれたんだなって……そういう意味に思えたわ……」
「…………」
“それはその時のこと”と、割り切って言い逃れることなんて出来るはずがなかった。
“その時のこと”でも、この“僕”がとった行動なのだ。
それが水月を裏切るものだったのは、確かなのだから……。
「――ホント…今サラだよな……」
ハッ…と、自嘲気味に力なく笑った。さっきまでの勢いのカケラも無かった。
「だけど、これだけは聞いて欲しいんだ」
僕は顔を上げ、改めて水月を見つめ直す。
「水月、いつか言ってくれたよな。オレの唄が好きだって……」
水月は僕から目を逸らしたまま、やはり僕を見てはくれなかった。
しかし僕は続けた。
「その言葉がどんなにオレを支えてくれたか……! その言葉を思い出すたびに、オレは唄うことができた。どんなに辛い時でも、おまえを想えば唄えたんだ。――それが感じられた時からオレは、オレ自身のためだけじゃなく、水月のために唄うことをも選んだ……そう、今でも確信してる」
「…………」
水月は無言で、やや顔を伏せると瞳を閉じた。
その様子は何だか辛そうに見えたが……でも今言わなかったらきっと一生言えない! そう思って、僕はかまわず先を続けた。
「オレの唄には“心”があるって、みんなそう言ってくれる。オレ自身もそう思ってる。だってオレの唄には、水月を想う心が入ってるから。それに、水月がオレを想ってくれる気持ちも込められてるって、――そう、信じてるから……」
「…………」
「今サラ……オレの言うことなんて、信じられなくて当然だと思う。けど、オレの唄だけは信じて欲しいんだ……! おまえが支えてきてくれた……好きだと言ってくれた……オレの唄だけは……! ――信じて、欲しいんだ……!!」
「――――!?」
「そうしてくれたのなら、少しは信じられたのに……! あの時なら……!」
「それはッ……」
「あれは、私を見限って行ってくれたんだなって……そういう意味に思えたわ……」
「…………」
“それはその時のこと”と、割り切って言い逃れることなんて出来るはずがなかった。
“その時のこと”でも、この“僕”がとった行動なのだ。
それが水月を裏切るものだったのは、確かなのだから……。
「――ホント…今サラだよな……」
ハッ…と、自嘲気味に力なく笑った。さっきまでの勢いのカケラも無かった。
「だけど、これだけは聞いて欲しいんだ」
僕は顔を上げ、改めて水月を見つめ直す。
「水月、いつか言ってくれたよな。オレの唄が好きだって……」
水月は僕から目を逸らしたまま、やはり僕を見てはくれなかった。
しかし僕は続けた。
「その言葉がどんなにオレを支えてくれたか……! その言葉を思い出すたびに、オレは唄うことができた。どんなに辛い時でも、おまえを想えば唄えたんだ。――それが感じられた時からオレは、オレ自身のためだけじゃなく、水月のために唄うことをも選んだ……そう、今でも確信してる」
「…………」
水月は無言で、やや顔を伏せると瞳を閉じた。
その様子は何だか辛そうに見えたが……でも今言わなかったらきっと一生言えない! そう思って、僕はかまわず先を続けた。
「オレの唄には“心”があるって、みんなそう言ってくれる。オレ自身もそう思ってる。だってオレの唄には、水月を想う心が入ってるから。それに、水月がオレを想ってくれる気持ちも込められてるって、――そう、信じてるから……」
「…………」
「今サラ……オレの言うことなんて、信じられなくて当然だと思う。けど、オレの唄だけは信じて欲しいんだ……! おまえが支えてきてくれた……好きだと言ってくれた……オレの唄だけは……! ――信じて、欲しいんだ……!!」