僕たちの時間(とき)




「みんな! 今日は、オレ達《ウォーター・ムーン》のライブに来てくれて、どうもありがとうっ!!」

 眩(まばゆ)いライトの中で、僕はいつも通りの挨拶をした。

 言いながら、僕の目は水月を捜す。

(――いない……)

 だからといって落ち込んでる訳にはいかない。

 僕は今、ステージの上にいるんだ。

 きっと水月は来てくれる。

 僕はただ、信じるしかない。

「じゃあ、今日のファーストナンバー……」

 僕のカウントで曲が始まり、観客が湧いた。
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