僕たちの時間(とき)
*
「ねぇ、もうちょっととばせないの?」
「そうは言ってもねぇ、お客さん。この通り、道が混んでて……」
「お願い、なるべく急いで下さい!」
満月と運転手のこんなやりとりを聞きながら、水月はチラリと腕時計を見る。
(もう、間に合わないかもしれない……)
今、水月と満月はタクシーの中にいた。
水月の体調を心配した、付添人・満月の配慮である。
「もうとっくに始まっちゃってるわね……病院抜け出すのに、思ってたより手間くっちゃったからなぁ……」
「そうね……」
満月のボヤきに、無機質に応える水月。
そんな、いつもよりずっと口数の少ない妹を見つめ、小さくタメ息をつくと。
満月は運転手に向かって勢い良く叫んだ。
「あぁもう! とにかくどーでもいいから、思いっきり急いでねっっ!!」
「ねぇ、もうちょっととばせないの?」
「そうは言ってもねぇ、お客さん。この通り、道が混んでて……」
「お願い、なるべく急いで下さい!」
満月と運転手のこんなやりとりを聞きながら、水月はチラリと腕時計を見る。
(もう、間に合わないかもしれない……)
今、水月と満月はタクシーの中にいた。
水月の体調を心配した、付添人・満月の配慮である。
「もうとっくに始まっちゃってるわね……病院抜け出すのに、思ってたより手間くっちゃったからなぁ……」
「そうね……」
満月のボヤきに、無機質に応える水月。
そんな、いつもよりずっと口数の少ない妹を見つめ、小さくタメ息をつくと。
満月は運転手に向かって勢い良く叫んだ。
「あぁもう! とにかくどーでもいいから、思いっきり急いでねっっ!!」