僕たちの時間(とき)
*
やっぱり水月は来ないのだろうか……もう、あきらめた方がいいのかもしれない。
僕は息を吐き、マイクを構え直す。
「ラストナンバー……」
言いかけた時、客席真後ろの扉が開いたのが、僕の目に映った。
(――――!?)
わずかな期待が…、――喜びに、変わる……!
(水月……!!)
見間違えるはずがない。
そこにあるのは、真っ直ぐに僕を見つめる、水月の真摯なまなざしだった。
僕のカオに笑みが広がる。
(来てくれたんだ……!)
なぜだろう。こんなことが、泣きたいほどに嬉しい。
ハハッ…と、軽く息で笑いながら俯いた僕の肩に、そこで手が置かれた。
光流だった。
光流も気が付いたのだろう。
振り返った僕に小さく笑いかけ、そして僕の手の中からスッとマイクを抜き取った。
「これからやる、このラストナンバー……実はコレ、まったく作詩しかしないこのサトシが、初めて作曲まで手掛けた力作なんだ。――な、サトシ?」
そんな声が流れ、静まっていた客席に小さくざわめきが走った。
歓声まがいの声が、あちこちから投げ掛けられる。
光流は僕にマイクを手渡すと、1つ、僕を見つめてしっかりと頷いた。
僕も光流に頷き返すと、マイクを構え、喋り出す。
「まぁ…そういうことなんだ。初めての試みだし、みんなに気に入ってもらえる出来になったかどうかは、ちょっと自信ないけど……とりあえず、聴いてみてくだサイ」
やっぱり水月は来ないのだろうか……もう、あきらめた方がいいのかもしれない。
僕は息を吐き、マイクを構え直す。
「ラストナンバー……」
言いかけた時、客席真後ろの扉が開いたのが、僕の目に映った。
(――――!?)
わずかな期待が…、――喜びに、変わる……!
(水月……!!)
見間違えるはずがない。
そこにあるのは、真っ直ぐに僕を見つめる、水月の真摯なまなざしだった。
僕のカオに笑みが広がる。
(来てくれたんだ……!)
なぜだろう。こんなことが、泣きたいほどに嬉しい。
ハハッ…と、軽く息で笑いながら俯いた僕の肩に、そこで手が置かれた。
光流だった。
光流も気が付いたのだろう。
振り返った僕に小さく笑いかけ、そして僕の手の中からスッとマイクを抜き取った。
「これからやる、このラストナンバー……実はコレ、まったく作詩しかしないこのサトシが、初めて作曲まで手掛けた力作なんだ。――な、サトシ?」
そんな声が流れ、静まっていた客席に小さくざわめきが走った。
歓声まがいの声が、あちこちから投げ掛けられる。
光流は僕にマイクを手渡すと、1つ、僕を見つめてしっかりと頷いた。
僕も光流に頷き返すと、マイクを構え、喋り出す。
「まぁ…そういうことなんだ。初めての試みだし、みんなに気に入ってもらえる出来になったかどうかは、ちょっと自信ないけど……とりあえず、聴いてみてくだサイ」