僕たちの時間(とき)
  もう二度と

  大事な君を失いたくはなかった

  君はずっと僕の隣で

  笑っていてくれると信じてた






(サトシ―――!?)

 囁くように唄い出した聡の背後で。

 光流をはじめ、ケンもトシも、一様に驚いていた。

 それもそのはず。

 ――聡が唄った歌詞は、今までの練習で唄っていたものじゃない。

(まさか、アドリブで……!?)

 3人は顔を見合わせた。

 ――が、次の瞬間には、3人そろってニヤッと笑う。

 トシは何事もないかのようにキイを弾き続け、光流とケンも、何事もなかったように自分の出番を待っている。

 3人の瞳が輝く。

 これからイタズラをしようとたくらむ、子供みたいに。


(こーなりゃトコトン付き合ってやるぜ!!)






  哀しみは運命をも変えるものなのか

  僕には君しかいないのに……
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