僕たちの時間(とき)
 ギターとドラムが加わる。

 僕もベースをかき鳴らす。

 短い間奏。

 そこで僕は気付く。

 バックの3人ともが、それぞれでアドリブを入れて演奏しているということに。

(みんな……!)

 振り向くと、僕に向けられた笑顔。

 わかってくれている、感じてくれている。

(最高の気分だ!)

 思いっきり唄える。

 僕達の気持ちは、今、1つになってる。






  いつもと同じ日々の中で僕らは

  些細なことの1つ1つを見つけ出して

  守ってきたよね

  そんな小さな“幸せ”と呼べるもの

  幾つも探せば

  2人を包み込む“大きな幸せ”になれるのだと

  一緒に心で感じていたはず






 そう、僕は大きな幸せを持ってる。

 小さな“幸せ”がたくさん詰まっている、“大きな幸せ”。

 水月が僕の名前を呼んでくれること。

 水月が僕に笑いかけてくれること。

 …そんなことでも、僕には“幸せ”だったんだ。

 何もなくていい。

 何もなくても、水月がそばにいてくれるだけで幸せなんだ、僕は……。
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