僕たちの時間(とき)
*
聡を見つめたまま、水月は泣いていた。
(なんで、涙なんか……)
しかしもう、答えはわかっていた。
頭の隅に追いやり、捨て去ろうとした想い。どんなに押し込んでも、溢れ出てきてしまう感情(きもち)。
(聡くんが…好きだから……!)
自分への戒めをほどいた今、胸一杯の熱い何かが、身体中に広がってゆく。
優しい音と共に耳から流れ込んでくる聡の気持ちを感じながら、水月は無意識に口を開いていた。
「こわかったの……」
「え……?」
ハッとして振り向いた満月はしかし、涙をためた瞳で聡を真っ直ぐに見つめている水月を見て、思わず口をつぐんだ。
「聡くんと離れるのが怖かった……しがみついていても、いつかつないだ手を放されてしまったらって……捨てられるのが怖かった。――死ぬのが、怖かったの! だからッ…! 自分から離れてしまえばいいって、そう思った……でも、違った……」
「水月……」
「自分だけが傷ついてると思ってた、聡くんの痛みなんて考えてなかった……! でも聡くん、こんな私のこと、今でも想ってくれてて……一昨日も会いに来てくれたのに……私、自分が許せなくて素直になれなかった……。その時から気付いてたのに……! 私には聡くんしかいないって……! 聡くんのことが、こんなにも好きなんだって……!」
満月は、無言で妹の肩を引き寄せた。
そんな姉にしがみつき、しゃくりあげながら水月は続ける。
「ホントは一緒にいたかったの……聡くんの言葉通り、一緒に幸せを作って、一緒に生きていきたかった……ただの夢物語で、終わらせたくは、なかったッ……!!」
聡を見つめたまま、水月は泣いていた。
(なんで、涙なんか……)
しかしもう、答えはわかっていた。
頭の隅に追いやり、捨て去ろうとした想い。どんなに押し込んでも、溢れ出てきてしまう感情(きもち)。
(聡くんが…好きだから……!)
自分への戒めをほどいた今、胸一杯の熱い何かが、身体中に広がってゆく。
優しい音と共に耳から流れ込んでくる聡の気持ちを感じながら、水月は無意識に口を開いていた。
「こわかったの……」
「え……?」
ハッとして振り向いた満月はしかし、涙をためた瞳で聡を真っ直ぐに見つめている水月を見て、思わず口をつぐんだ。
「聡くんと離れるのが怖かった……しがみついていても、いつかつないだ手を放されてしまったらって……捨てられるのが怖かった。――死ぬのが、怖かったの! だからッ…! 自分から離れてしまえばいいって、そう思った……でも、違った……」
「水月……」
「自分だけが傷ついてると思ってた、聡くんの痛みなんて考えてなかった……! でも聡くん、こんな私のこと、今でも想ってくれてて……一昨日も会いに来てくれたのに……私、自分が許せなくて素直になれなかった……。その時から気付いてたのに……! 私には聡くんしかいないって……! 聡くんのことが、こんなにも好きなんだって……!」
満月は、無言で妹の肩を引き寄せた。
そんな姉にしがみつき、しゃくりあげながら水月は続ける。
「ホントは一緒にいたかったの……聡くんの言葉通り、一緒に幸せを作って、一緒に生きていきたかった……ただの夢物語で、終わらせたくは、なかったッ……!!」