僕たちの時間(とき)
「『ハリー・ポッター』だって、いくらでも付き合ってやるよ。だから3作目も一緒に観に行こう。4作目も5作目も、ずっと、さ……」

「うん……」

 答えた彼女が、僕の背中に回した手に力を込めた。

 僕も、彼女を抱きしめた手に力を込める。

 しばらくの間、ずっと僕たちはそうしていた。何も言わずに、ただ寄り添って、互いの温もりを確かめ合っていた。

 ――許された時間の終わりが来てしまうまで、ずっと………。


 この手の中から離したくはなかった。

 たとえ、12時になれば魔法が解けてしまうシンデレラだと解っていても。

 いつまでもずっと、この手に抱きしめたままでいたかった。

 それくらい、かけがえのない大切な…僕にとって無くてはならない女性(ひと)、だった―――。
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