僕たちの時間(とき)




 何年か後に……時々、この時のことを思い出す。

 そして、月を仰ぐ。


 ―――儚くも消えた“月”は、今どうしているだろうかと………。


 俺の隣で相変わらず満月(まんげつ)が輝いて在るように……聡の心の中に、今もなお色あせずに輝き続けていることは、間違いないんだろうけれど。


 それでも、想いを馳せずにはいられない。

 だから俺は、月を仰ぐ。


「聡は……元気にやってるよ、相変わらずな………」


 真冬の月は……かつてと同じく、ただ白く皓々と、そこに在るだけだった―――。










-『crescent~真冬の月~』 fin.-


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