僕たちの時間(とき)
 母曰く、『都会の学校なんて、どこも似たり寄ったりだわ!』とのこと。

 よって現在、僕は郊外に住む母方の祖父母の家に居候しながら、そこの最寄の公立小学校を経て、やっぱり最寄の公立中学校へと通っている。


 ――でも、それが何だっていうのさ?


 そんなこと、ちっとも“特別なこと”なんかじゃない。

 ピアノを弾く、ということのために……僕は様々な制限を受け、色々なものを諦め……いつしかそれが“当然のこと”になっていたから。

 僕が何も言わなければ全ては丸く収まる、ということを、これまでの経験上から、既に身に沁みて理解していた。

 だから僕は、ただジッと待てばいいだけのことだ。

 ――“波”が過ぎ去るのを。
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