僕たちの時間(とき)
――ずくんっ……!!
その言葉を聞いた途端、何かが僕の胸の内側、鈍く…でも鋭く、爪を立てて蠢いた。
痛い…と感じた。
“何が”痛いのか、“何故”痛いのか、
――それがどうしても分からないけど。
それでも……代わり映えの無い日常に飽いている自分の図星を突かれたことは、確実だった。
「おまえのそーいうとこ、すっげえ気に食わねえっ……!」
言葉を失った僕の様子になど気にも留めず、吐き捨てるような調子で、葉山が続ける。
「仮にも自分が、そうやってコンクールにまで出られるくらい、真剣に打ち込んできたものに対して……! そこまで無関心でいられるオマエの心根が、さっぱりワケ分かんねえよ! その態度、真剣に生きてる人間に対して、おそろしく失礼だって思わねえのかよ!?」
「――『真剣』とか『無関心』とか……そうゆうこと、そもそも僕には分からないから……」
ようやく僕は、そこでヤツの言葉の合間に独り言めいた呟きを差し挟んだ。
それを聞き止めて、つられたように葉山の激昂した言葉も止まる。
俯いて、目の前の鍵盤の白と黒を見つめながら。
やはり独り言のように、僕は続ける。
「『気に食わない』のは、お互い様だろ? ――だって僕も君が苦手だ。君の、そんな真っ直ぐで熱くてうっとおしいトコロ、気に食わない」
「なんだとっ……!?」
噛み付かんばかりに目を向いて、そして何か反論しかけたヤツの言葉を、僕は顔を上げることで遮って。
「…だって、そうだろう?」
先んじて告げた言葉。
「最初から相容れられるハズなんてないんだよ。――君は“人間”で、僕は“機械”だ」
その言葉を聞いた途端、何かが僕の胸の内側、鈍く…でも鋭く、爪を立てて蠢いた。
痛い…と感じた。
“何が”痛いのか、“何故”痛いのか、
――それがどうしても分からないけど。
それでも……代わり映えの無い日常に飽いている自分の図星を突かれたことは、確実だった。
「おまえのそーいうとこ、すっげえ気に食わねえっ……!」
言葉を失った僕の様子になど気にも留めず、吐き捨てるような調子で、葉山が続ける。
「仮にも自分が、そうやってコンクールにまで出られるくらい、真剣に打ち込んできたものに対して……! そこまで無関心でいられるオマエの心根が、さっぱりワケ分かんねえよ! その態度、真剣に生きてる人間に対して、おそろしく失礼だって思わねえのかよ!?」
「――『真剣』とか『無関心』とか……そうゆうこと、そもそも僕には分からないから……」
ようやく僕は、そこでヤツの言葉の合間に独り言めいた呟きを差し挟んだ。
それを聞き止めて、つられたように葉山の激昂した言葉も止まる。
俯いて、目の前の鍵盤の白と黒を見つめながら。
やはり独り言のように、僕は続ける。
「『気に食わない』のは、お互い様だろ? ――だって僕も君が苦手だ。君の、そんな真っ直ぐで熱くてうっとおしいトコロ、気に食わない」
「なんだとっ……!?」
噛み付かんばかりに目を向いて、そして何か反論しかけたヤツの言葉を、僕は顔を上げることで遮って。
「…だって、そうだろう?」
先んじて告げた言葉。
「最初から相容れられるハズなんてないんだよ。――君は“人間”で、僕は“機械”だ」