僕たちの時間(とき)
「もしかして、生徒会長の山崎くん……?」

「そう、その山崎。…来てない?」

「来てない、けど……?」

 ――てゆーか、そもそも生徒会長がココに来る予定も無いですケド……?

 そんな疑問を浮かべた僕の様子など、このウッカリ野郎な美形くんが気付いてくれようハズも無く。

「おかしいな…先に出てったハズなのに。どこで寄り道してんだろ?」

「そもそも山崎くんがココに来る用も無いと思うんだけど……?」

「え? だって、ここで待ち合わせてるんだぜ? そのうち来るだろ?」

「…つーか、なにそれ『待ち合わせ』って?」

 そのミョーに食い違う会話に為す術もなく疲れてきた僕は、思わず眉をしかめて、そう返すと。

 即座に「あれ、聞いてない?」と、グランドピアノの向こう側から驚いたような視線が返ってくる。

 ――だから、そもそも何をだよ……?

 反射的にぴきっと浮かんできたコメカミの血管を押さえつつ、「あのさあ…!」と、僕は口を開きかけた。

 それと同時だった。


 ――だだだだだだッ……!!


 ふいに、声楽室の出入口の向こうから、廊下をスサマジイ勢いで駆け抜ける複数の足音が聞こえてきて……、
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