僕たちの時間(とき)
ああウルサイ…と、ボヤきつつ軽く耳を塞いで、呆れ果てた僕が再び椅子の上に腰を下ろしたらば。
「おい、サトシ!! そこで笑って見てねーで、テメエもドア押さえるの手伝いやがれ!!」
聞こえてくる、そんな葉山の心の底から切実そーなセリフ。
…ああ、と僕は思い出した。そこでようやく。
そうだ、『サトシ』だ。
ウッカリ野郎な美形くんの名前。
フルネームは『渡辺(わたなべ) 聡(さとし)』、だったっけ確か。
フとグランドピアノの向こうに立つ当の渡辺くんを眺めやると、やっぱり呆れたように笑いながら、「ヤダよ、とっつぁん敵に回すのは」なんて返している。
「そろそろ大人しくお縄についてやったらールパンくん?」
「誰が『ルパン』かー!! 俺はあそこまで猿じゃねえっ!! …いいぜ、こうなったら籠城作戦っ!! 意地でもココは開けねえぜ!! 勝負だ、とっつぁん!!」
「どアホウ!! なーにが『勝負』だ!! 貴様と勝負なんぞしたくもないわ!!」
「どうとでも言いやがれ!! あくまで俺は、断固この全身の熱い血潮に染み渡ったロッカー魂を主張する!! ハードロッカーたるもの、服装をハードに貫き通してこそ真の
漢(おとこ)!! これは絶対に曲げらんねえぜっっ!!」
「やかましいわ!! そんなワケもわからん屁理屈なんざロッカーの中にでも仕舞っておけいっっ!!」
――てゆーか……いつまで続けるつもりなんだろう、コレ……?
付き合うのも馬鹿らしい…と、僕は椅子の上で頬杖を突きつつタメ息を洩らす。
このまま立て籠もるのは好き好きだけど……このまま続けられたら、僕が出たい時に出ることも出来ないじゃないか。
ホントいい迷惑だよ、まったく。
「おい、サトシ!! そこで笑って見てねーで、テメエもドア押さえるの手伝いやがれ!!」
聞こえてくる、そんな葉山の心の底から切実そーなセリフ。
…ああ、と僕は思い出した。そこでようやく。
そうだ、『サトシ』だ。
ウッカリ野郎な美形くんの名前。
フルネームは『渡辺(わたなべ) 聡(さとし)』、だったっけ確か。
フとグランドピアノの向こうに立つ当の渡辺くんを眺めやると、やっぱり呆れたように笑いながら、「ヤダよ、とっつぁん敵に回すのは」なんて返している。
「そろそろ大人しくお縄についてやったらールパンくん?」
「誰が『ルパン』かー!! 俺はあそこまで猿じゃねえっ!! …いいぜ、こうなったら籠城作戦っ!! 意地でもココは開けねえぜ!! 勝負だ、とっつぁん!!」
「どアホウ!! なーにが『勝負』だ!! 貴様と勝負なんぞしたくもないわ!!」
「どうとでも言いやがれ!! あくまで俺は、断固この全身の熱い血潮に染み渡ったロッカー魂を主張する!! ハードロッカーたるもの、服装をハードに貫き通してこそ真の
漢(おとこ)!! これは絶対に曲げらんねえぜっっ!!」
「やかましいわ!! そんなワケもわからん屁理屈なんざロッカーの中にでも仕舞っておけいっっ!!」
――てゆーか……いつまで続けるつもりなんだろう、コレ……?
付き合うのも馬鹿らしい…と、僕は椅子の上で頬杖を突きつつタメ息を洩らす。
このまま立て籠もるのは好き好きだけど……このまま続けられたら、僕が出たい時に出ることも出来ないじゃないか。
ホントいい迷惑だよ、まったく。