僕たちの時間(とき)
「あーもう、助かったぜーミツルー!」

「…ったく毎度毎度! 礼を言うくらいなら、最初から俺を巻き込むなよ! とっつぁんのシツコさと執念深さを知らないのか貴様は!」

 そうして振り下ろされた片手チョップを白羽取りしつつ、葉山がニマッと笑って「知ってるからこそ巻き込んでんじゃん!」などと、いけしゃーしゃーと返す。

「さっすがセイトカイチョー! ホンマに頼りにしてまっせ? ――てーか、あの定年目前日和見公務員とは思えんスバラシイ“教育的指導ダッシュ”は、ホント何とかして欲しいよなー……ヒトの顔、見るたび見るたび、なんでああ嬉々として走ってくるかなあ……」

「仕方ないだろ。オマエのよーな不良生徒を更正させるのが老人の生き甲斐なんだよ。それが分かったら、今度はサッサと丸刈りにされてやれ」

「――オマエまで俺に金髪坊主になれとゆーか……!!」

「出てる杭である以上、打たれるのは当然なんだよ。お分かりー?」

「ちっくしょーっ……!!」

 そこで、やりこめられて口の中でブツブツ呟き始めた、まだヘタり込んだままの葉山の脳天を、今度こそバシッと引っぱたいて黙らせて。

 フと生徒会長は、そこで僕の方を振り向いた。
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