僕たちの時間(とき)
「何だって? 藤沢」

 僕の電話が終わったのを見計らったように光流は歩み寄ってくると、ジュースの缶を放り投げながらそう訊いた。

「後から差し入れ持って来るってさ、スタジオに。ただ今日は学校に行ってからになるから、少し遅くなるっていうご連絡。――さんきゅ」

 答えて僕は、プシュッと缶のプルトップを押し込む。

 そしてそのまま、光流と並んで歩き出した。

「いつも悪ィな、藤沢には」

 おどけたように「お世話になってマス!」と、光流は笑う。

「そう思うなら、少しは遠慮ってものをしろよなぁっ! そろいもそろってオレを差し置いて、いっつもバクバク喰いやがって」

「――ほぉ…? それがこの炎天下にヘーキで長々と、こともあろうにこんなジュースまで用意してくれるような“超やっさしぃーい親友”を待たせておくなんてマネをする“どっかの特大バカ”の言うべきセリフだなんて……! 俺には、どぉーおっしてもッ! 思えないんだけどなあぁぁぁぁぁあああっ!!」

「あーわかったハイハイこのオレが悪ぅございましたよオレが! …ったく、そーゆう奴だよな、てめーはっっ!!」

「あー言えばこー言う……」

「おまえがタメ息吐くんじゃねえッ!!」
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