僕たちの時間(とき)
“自分の周囲のものすべて自分の掌の上で転がせると思ってるタイプ”には、2通りある。

“すべてが自分の思う通りに“なる”と思ってるだけの〈井の中の蛙(かわず)な馬鹿王子”と、

“すべてが自分の思う通りに“出来る”と思ってる計算高い独裁者”と。

 山崎くんは、多分“後者”だ。

 こういうタイプの人間にとって、思う通りに動いてはくれない馬鹿なんて、“友達”になるどころか、扱い難い“計算外の荷物”なだけだろうと思うのだが。


 だからこそ……それゆえに、ヤツら2人の存在を否定できないのかもしれない。

 彼も、きっとヤツらに通じるものを持っているからこそ、――既に知っているんだろう。

“計算外”という存在が在る以上、世の中なんて、絶対に自分の思う通りになんて動かせない、っていうことを。


 決して思うがままにならないのが“現実”というもの、…それは確固たる真実だ。

 常に現実には“計算外”というものが付きまとう。

 それを如何に回避することが出来るかにより、現実を限りなく“理想”に近付けていくことが出来るのだ。

 …しかし、もう1つ。

 同時に、その“計算外”という存在を自分の中に受け入れる、というテも、存在すると云うこと―――。
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