僕たちの時間(とき)
《ウォーター・ムーン》のメンバーは4人。

 ヴォーカル兼ベースの僕。

 リーダーで、ギターの光流。

 キーボードの『トシ』――こと、竹内俊彦。

 そしてドラムの『ケン』――こと、葉山健二。

 4人とも同中学出身だが高校はそれぞれ別だ。
 僕と光流は、唯一同じ学校――しかも同じクラス――だけど、トシは私立の、ケンは公立の、それぞれ共学校に通っている。

 僕達は、高校生になってもバンド活動は続けていくつもりでいた。

 けれど、学校が別となるとそうそう気軽にいつでも会えるというわけにはいかず、毎週日曜日に予定している練習も4人が皆揃うのはごく稀で、たまにしかできないのが現状だ。

 だから結局、長期休業時にまとめてだーっと練習するってのが、1番良い方法であり。

 でもって、夏休み、なんていう現在は、僕達の意気が充分に上がる時期なのだ。

 8月半ばあたりからライブの予定も入れているから、もう連日練習三昧。その為にバイト漬けだった日常も報われるってものだ。

 水月は、そんな僕達の意気を充分に解って、応援してくれている。

 そして来る度に何かしらと差し入れもしてくれる。

 水月としても、メンバーの皆が顔見知りの奴ばかりだから来やすいだろうし、僕以外の3人も、水月なら見学でも何でもOKだと、歓迎しまくっている。

 なんせヤツらも、もともとは水月のファンだったことだし。(――って、“今も”か…?)

 今や水月は、物質面においても、…もちろん精神面においても、僕達《ウォーター・ムーン》にとって欠かせない一員となっていた。
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