僕たちの時間(とき)
 睦月ちゃん――藤沢睦月ちゃんは、水月の妹で、まだ12歳の中学1年生。

 僕や水月の母校である中学校に通っている。

 このコは“美人”というより“可愛い”タイプ。

 栗色のくるくるした天然パーマヘアに、くりくりとよく動く大きな瞳、よく響くソプラノの声。

 いかにも、愛らしく、可愛く、育て上げましたって感じの、キャピキャピした典型的女の子。

 ――なの、だけど……。


「あーもぉ! せっかくキレイな聡さんのカオが、まぁちゃんの馬鹿力のせいで傷付いちゃってー……」

「何ですってェ……?」

「そんな大雑把すぎる性格してるから、いーっっつもカレシに逃げられちゃうのよ。そのうち光流さんにも捨てられちゃうわねっ」

「あんた、妹の分際で……!」

「どうでもいいけど、あれほどキレイな人の顔は傷付けないでって、言ってるのに……」

「今日が初めてじゃないような言い方、しないでくれる!? 人聞きの悪い……」

「そうよねっ、“いつものこと”だもんねっ♪」

「むぅーうぅぅ―――ッ……!!」


 可愛い顔して……結構な毒舌家だったりするのだ、これが……。


 満月さんといい睦月ちゃんといい、激しい性格してるよなぁ…と常々思う。

 仲がいいのはわかるのだけれども。

 水月が控え目な、それでいて芯のある性格になったのは、この2人の間にいたからではないだろうか……?


 ――因みに。この藤沢さん宅の3人姉妹の、それぞれ姉、妹を呼ぶ時の呼び方は。
 満月さんが『みぃ』『むぅ』。

 睦月ちゃんが『まぁちゃん』『みぃちゃん』で。

 水月はオーソドックスに『お姉ちゃん』『睦月』。

 ここにもなかなか性格がでていて面白い。
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