僕たちの時間(とき)
 正直、僕はホッとしていた。

 どうして? …なんて聞かれたところで、何と言っていいか分からなかったし。

 それに僕自身、思い出したくはないことだったから……。

 冗談でも、“そっち”へと話を持っていってくれた満月さんのおかげで、心の底から、ホッとした。


 ――そう、水月は違う…!

 まだ“最悪のパターン”になったわけじゃない。

 まだ“現実”に裏切られたわけじゃない。

 水月は“違う”、絶対……!!


 これから水月に会いに行くっていうのに……“あのこと”を思い出して、どうするんだ。

 でも無性に“それ”が思い出されるのは……、


(何故、なんだろう……?)
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